言葉とぽてと(私)

詩を書く芋

【詩】雪の降る夜

 

雪空の匂いは、少し甘い

そんな夜は、まるで違う星にいるみたい

 

しんしんしん、振り続ける雪は

私たちの営みなんて気にせずに、この星を

ひやり、甘く染めていく

 

雪空の匂いは、心を洗う

そんな夜は、すこし現実が遠くなるみたい

 

しんしんしん、降り続ける夜は

小さな私たちを気にせず、この星を

ひやり、優しく包み込む

 

 

 

【詩】里帰り

 

ここにいた私は、遠い昔

 

忘れていたと、思っていたけれど

どうやら体が覚えているみたい

 

ねぇ、よく行ったお店、まだあるみたい

あのご飯屋さん美味しかったな

 

歩けば、遠い昔と同じように道がくる

 

こっち、こっち

どうやら体が覚えているみたい

 

この街は、私のことを忘れているだろうけど

 

 

【詩】理想

 

警戒を緩めて、

 

関わる人に笑顔を見せて、

 

物腰柔らかく、

 

そう在りたいと思うけれど、

私には少し無理そう

 

 

警戒をして、

 

笑顔を振りまかないで、

 

隙のない冷たい態度で、

 

そうなりたくないと思うけれど

私には少し無理そう

 

【詩】眠る

 

ゆらゆらゆら

 

意識が、ゆらゆら

体も沈む

 

囚われたように動かない

 

体が重い

囚われたように動けない

 

ゆらゆらゆら

 

意識は、どこか優しい場所へ

体は、ここで包まれ、沈み込む

 

ゆらゆらゆら

 

全て手放し、深い眠りへ

 

 

 

 

 

【詩】2人暮らし

 

 

ひとりぼっち

静かな夜

 

音楽もなく、声もなく

 

静かな部屋に

ひとりぼっち

 

少し聞こえるのは、

換気口からの、風の音

 

少し寒いこの部屋で

ひとりぼっち

 

いつもだったら、あの子もいるけど

しばらくは不在

 

はやく、帰ってこないかな

はやく、帰っておいでよ

 

この部屋で待っていてほしい

今から帰るよって送るから

 

 

【詩】死んでもいい

 

綿菓子のような、甘い笑顔が

僕だけを、瞳に映してくれる

 

春のような、あたたかい手が

僕だけを、包んでくれる

 

何かの間違えじゃないと、いいな

これが、夢じゃないと、いいな

 

君が隣にいるなんて

死んでもありえないと思っていたんだ

 

だから、もう死んでもいいや